看護師の人手不足の実情を紹介

看護師の人手不足は昔から言われていることだが、実は看護師の数はどんどん増加している。日本看護協会の統計資料を確認すると、毎年約3万人ずつ増加していることがわかる。看護師の数が右肩上がりで増えていっているわけだが、なぜ人手不足の状態なのか。

これは、看護師の需要が供給に追い付いていないからだ。日本看護協会の調査によると多くの病院がもっと看護師を増やしたいと思っていることがわかる。また、厚生労働省によると、2025年までに必要な看護師職員は200万人と推定されているが、2016年時点ではまだ約170万人しかいない。そのため、大きな変化がない限り、現在だけでなく将来的にも人手不足の状況が続いていく見込みだ。

看護師の人手不足の原因の1つとして、厳しい労働環境が挙げられる。2018年の病院看護実態調査を見てみると、看護師の18%が離職している。そのうち新人看護師は8%を占める。賃金がそこまで高くない、長期休暇を取ることが難しい、夜勤など体力的に厳しいということが離職する理由として多い。他にも、看護師は女性が多いことから、結婚や出産を契機に退職する人も多い。こうした実情があることからなかなか爆発的に看護師の数が増えないのだが、後者に関しては産休・育休制度が充実していけば職場復帰もスムーズに行うことも可能になるので、改善の余地はある。今後、看護師の働く職場環境の改善が行われれば離職する人も減り、一度は退職した潜在看護師も看護師として職場復帰するようになり、看護師の数は増えていく可能性はある。